株式会社 あいしん不動産_logo

アパート経営しているAさんは、認知症にならないうちに長男にアパートの経営管理を任せ、そのうえで、家賃収入は受け取りたい。また、自分が死亡後は妻に家賃収入が入るようにしたい。

【事例】
賃貸アパートを経営しているAさん(81)は、高齢により日常生活が大変になって来た為、3年前から妻B(79)とともに、Aさんが所有している自宅から、30キロ程離れた長男S(51)夫婦のもとに身を寄せている。

Aさんが所有していた自宅は、何の手入れもしない「空き家」になっていた。
ある日、自宅近くに住む友人から、空き家がお隣さんにも、地域住民にも迷惑がかかっていることを知らされ、Aさんは、いままでお世話になっていた皆様に申し訳ないと責任を感じ、早速「空き家」を解体し、更地にして売却することにした。

運よく不動産業者を通して買主がみつかり、近々に売買契約が締結される。
この事があってからAさんは、自分に判断能力のあるうちに、認知症にならないうちに長男Sに、アパート経営管理をしてもらい、アパートの家賃収入は妻との生活費に充てたい。さらに自分が死亡したあと、妻Bにアパートの家賃収入が引き継がれるようにしておきたい。



「家族信託」による活用例

Aさんは、長男Sとの間で、Aさん所有の不動産家賃アパートを信託財産とする信託契約を締結します。
その内容は、Aさんを委託者兼受益者とし、長男Sを受託者とする。
信託期間はAさんの妻Bが死亡するまでとする。

これによりアパートの所有権は、受託者の長男Sに移ります。
長男Sは、契約当事者として、アパートの入居者と賃貸借契約を結ぶこと、アパートの修繕・リフォーム等を発注することができることになります。

委託者兼受託者のAさんは、アパートの家賃収入を受け取ることができること。
そして、Aさんが死亡した後、妻Bさんがアパートの家賃収入を引き続き受け取ることができるように、第二次受益者として指定することとした。

Bさんが死亡したところで、信託期間が終了し、アパートは完全に長男Sの所有となる。

「家族信託」のここがポイント

通常の遺言では、Aさんが死亡した後に発生した相続(妻Bの死亡後)についてまで財産の引き継ぎは指定することができない。

しかし、「家族信託」は財産の引き継ぎを指定することができます。

もし、Aさんの判断能力が低下し、認知症になっても、アパートの家賃収入をAさんは、受け取ることができ、アパートの所有者はSですので、Sは引き続き今まで通りアパートの管理等を行うことができる。
また、Aさん死亡後も妻Bは、アパートの家賃収入を受け取ることができる。


信託財産
受託者に属する財産であって、信託により管理又は処分すべき一切の財産をいう。
委託者
財産を預ける人(信託する財産の元の所有者)
受託者
信託財産を預かって、管理又は処分及びその他、信託の目的達成のために、必要な行為をすべき義務を負う人(財産の所有者)
受益者
信託財産から利益を受ける人(受益権を有する者)