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都内に居住しているAさんは、静岡の介護施設に入所している母親と誰もすまなくなった「空き家」が心配

【事例】
東京都内に住んでいるAさん(52)は、静岡にある「空き家」のことがとても心配でなりません。

空き家の所有者である母親Y(78)は、静岡の介護施設に入所しているが、身体的に弱っているものの、今は判断力がある。幸いに施設の近くに住んでいるAさんの妹B(48)家族が時々母親Yの面倒を看にきてくれている。

先日Aさんは、母親Yの判断能力が低下し、認知症にならないうちにと、静岡に行き母親Y、妹Bと、3人で今後の有り方はじっくりと話し合いました。

まずAさんは静岡には帰らない。母親Yは、AとBに金銭的負担をかけさせたくないと言う。

そこでY所有の「空き家」を売却し、今後発生する介護施設の入所料等に充てたいとの考え。
この母親Yの“想い”にAさん、Bも納得する。

また、母親Yの近くに住んでいる妹Bについては、定期的看護と緊急時の対応などを斟酌して、母親Yが死亡時には、残余財産の分配を多くすることも3人が合意納得する。




「家族信託」による活用例

母親Yは、妹Bとの間で、Y所有の自宅不動産を信託財産とする信託契約を締結する。

母親Yはを委託者兼受益者とし、受託者を妹Bとし、信託期間は母親Yが死亡するまでとしました。

妹Bは、自らが登記簿上の所有者となり、空き家不動産の管理売却の権限を与えられます。

母親Yが死亡した時点で信託は終了し、長男Aさんとの合意約束した通り、Aさんに3分の1、妹Bさんに3分の2の残余財産の帰属先を指定するむねも信託契約に明記しました。


「家族信託」のここがポイント

母親Yの死亡により信託は終了しますが、残余財産(この物件限定)の帰属先が妹Bと指定されていますので、実質的に母親Yが遺言を書いたことと同じ効果があります。

長男Aさんが危惧していたように、不動産を売却したいとき、母親Yに判断能力がなければ成年後見人を依頼することになり、後見人就任まで数ヶ月もかかります。

さらに家庭裁判所の許可を得てから売却しなければなりません。

場合によっては売却のタイミングを失してしまうかもしれません。

母親Y所有の自宅不動産を信託財産とする信託契約を締結することによって、母親Yの判断能力の有無には一切問題なく、これを売却することができます。


信託財産
受託者に属する財産であって、信託により管理又は処分すべき一切の財産をいう。
委託者
財産を預ける人(信託する財産の元の所有者)
受託者
信託財産を預かって、管理又は処分及びその他、信託の目的達成のために、必要な行為をすべき義務を負う人(財産の所有者)
受益者
信託財産から利益を受ける人(受益権を有する者)